Nassau Street の 「 Kilkenny 」 ( アイルランドの特産品を集めたデパート ) と 「 Celtic Notes 」
( アイルランド音楽専門の CD ショップ ) の間を奥に入ってゆくと、駐車場があるんですが、その駐車場
の壁に、下の写真のようなモザイク壁画がかかっています。
ⓒ bonovox45 (June,2007)
ベルファストのアーティスト、Desmond Kinney 氏が 1974 年に製作したモザイク壁画。かなり大き
いサイズです。上の写真は 5 年前に撮影したもの。ブログにも以前、掲載した事があります。
この壁画、なんとなく神話がモチーフになっているのかな〜という事しか分からなかったので、ちょっと気
になって調べてみました … が、以前も何度か書いたように、私は神話が大の苦手。子供向けのファンタ
ジーはもちろん、大人向けの暗いファンタジーも、どうもダメなんですよねえ … 。「 魔法 」 とか出てきた
時点で、もうアウト、だったりします。
なので、いまひとつガッツリ調べる気にもならず、実はいまだにあんまり分かっていません。とりあえず分
かったのは、この壁画は " Táin Bó Cuailgne " もしくは単に " Táin " と呼ばれる " クーリーの牛争
い " ( The Cattle Raid of Cooley ) について描いているということ。
" クーリーの牛争い " は、アルスター伝説の中心となるお話しで、牛の貸し借りに端を発したコナハト対
アルスターの 7 年に渡る戦いを描いた一大叙事詩です。
この時、コナハトの女王メイヴと戦ったのが有名なアルスターの英雄、クー・フーリンなんですね。 クー・
フーリン、中央郵便局 ( GPO ) にも彫刻が飾ってあるし、アイルランドを舞台にした小説にも度々、登場
するので、神話が苦手な私でも、かろうじて分かります。
ⓒ bonovox45 (January,2012)
こちらは今年、撮影してきたもの。 上の写真の中央でうなだれているのが、悲劇的な最期を迎える英雄、
クー・フーリンです。よく見ると、伝説のとおり、石に自分の体を縛り付け、肩には死を司る女神モリガンの
化身、カラスがとまっています。
その右側の馬に乗っている女性が、女王メイヴなのかな? そして、左上の闘っている 2 人の男性の絵
は、クー・フーリンと親友フェルディアの一騎打ちのシーンだと思われる。
ⓒ bonovox45 (January,2012)
この真ん中の太陽は、クー・フーリンの父親である、太陽神ルーを表しているんでしょうね ( たぶん ) 。
このほかにも、闘っている 2 頭の牛の姿や、セタンタ ( クー・フーリンの幼名 ) が、鍛冶屋クランの屋敷
の番犬を絞め殺すシーンなども描かれています。
アルスター伝説に出てくる有名なシーンが描かれているので、ケルト神話に詳しい方だと、パッと見てす
ぐに分かると思うんですが、私にはこの辺が限界でして … 。よく意味が分からない絵とかもありました。
追々、分かる時がくるといいんですが … 。
この壁画がある駐車場を抜けると細い路地に出るんですが、実はその路地の名前が Setanta Place。
Setanta ( セタンタ ) は、先ほども書いたとおり、クー・フーリンの幼名です。この場所に飾られている
のも、ちゃんと意味があっての事なんですね。
ⓒ bonovox45 (January,2012)
別の壁には、口頭で伝承されてきた " クーリーの牛争い " の伝説を、8 世紀に文字へと書き起こした筆
記者の一文が刻まれています。あんまりうまい事、訳せていませんが、いちおう日本語訳はこんな感じ ↓
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
私はこの物語、正確に言うと空想を、文字へと起こした。この物語あるいは空想の一部始終を信じるべか
らず。ひどい嘘もあれば、抒情的な夢物語もある。ありうる話しもあれば、そうでないものもある。 愚か者
を楽しませるためのものもある。
-------------------------------------------------------------------------------------------------------
ようするに 「 けっこうテキトーなとこもあるから、大真面目に鵜呑みしないでねー 」 と、口述筆記者本人
が言ってるわけですね。ちょっと面白い。
この壁画、大通りからちょっと奥に入った目立たない場所にあるので存在感は薄いですが、色鮮やかで
ダイナミックな作品なので、神話好きな人は、ちょっとチラ見していくとおもしろいかも。
(2012.5.16)